【果物は糖分が多いから太るは誤解】健康維持に毎日くだもの200グラムを

秋はぶどう、なし、りんごなどおいしい果物が豊富な季節ですね。

「果物は甘くて糖分が多いから太りやすい」

「糖尿病で血糖値が気になるから果物はあまり食べない」

「果物を食べると中性脂肪が高くなる」

果物の糖分が気になってあまり食べないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

日本では果物はおやつ・嗜好品という考え方が根強く、国民一人あたりの1日の摂取量は約100gで先進国の中では低水準です。欧米では1日300g以上摂取している国も。

果物は効率よくビタミンなどの必要な栄養素が摂取でき、健康維持・疾病予防に有効とされ、厚生労働省では1日200gの果物を食べることを目標としています。

今回の記事では

  • 果物に含まれる栄養素
  • 果物の糖質の量
  • 最適な1日あたりの摂取量

について紹介していきます。

果物の主な栄養素は?

果物には健康の維持に欠かせないビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素がふくまれます。

果物に含まれる主な栄養素を見ていきましょう。

ビタミンC 

皮膚や粘膜の健康維持、抗ストレス作用があります。ビタミンCは水溶性で熱に弱いので、生のままで食べられる果物で摂ると効率的です。

ビタミンA

妊婦や乳児の成長に特に必要なビタミンです。夜間の視力維持を正常に保つ機能があります。

ビタミンB群

エネルギーの供給や物質代謝に関与していて、不足すると疲れやすくなります。果物に含まれているビタミンB6は、脂肪やアミノ酸の代謝に関与し、脂肪肝の予防効果があります。

ビタミンE

抗酸化作用により体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康を維持します。老化防止、高血圧、動脈硬化、など生活習慣病の予防に効果があります。

カリウム

高血圧や脳血管疾患に関与する食塩(ナトリウム)の排出を促す効果があります。カリウムは調理によって溶出して失われやすく、生で食べられる果物は、カリウムを摂取するのに適しています。

食物繊維

便秘を改善し、糖質、脂質の吸収を遅らせる働きがあります。果物には水溶性食物繊維・不溶性食物繊維の両方が含まれています。

 

代表的な果物にどれくらい栄養素が含まれているかを下記の表にまとめました。

主な果物の可食部200g当たりの栄養成分量

栄養成分ビタミンC(mg)ビタミンA(μg)ビタミンンE(mg)ビタミンB6(mg)カリウム(mg)食物繊維
1日あたりの推奨量100mg850μg7mg1.4mg2500mg19g
みかん641680.80.123002
りんご840.40.062203
なし600.20.042801.8
かき140700.20.123403.2
ぶどう440.20.082601
もも16微量1.40.043602.6
キウイフルーツ138122.60.245805
パインアップル546微量0.163003
バナナ321010.767202.2

※公益社団法人中央果実協会「果物と健康」より抜粋

※赤字は特に含有量が多い数値

キウイフルーツは他のフルーツと比較するとビタミンC・カリウム・食物繊維など栄養素の分量が多く、おすすめのフルーツです。

 

果物の気になる糖分は?

果物には体に良い栄養素が含まれていると分かっても、ダイエットをしている方や糖尿病などの生活習慣病のある方はやはり糖分が気になりますよね。

果物の糖類は主にブドウ糖、果糖、ショ糖の3種類です。

果糖は果物に多く含まれる糖類の一種で、果糖自体が血糖値を上昇させることはありません。

しかし果糖は吸収されるとすぐ、10~20%が肝臓でブドウ糖と中性脂肪に作り替えられます。

健康に良いといって、過剰に食べてしまうことで糖質の摂り過ぎになるので注意しましょう。

また、果物は大部分が水分で、菓子類に多く含まれる高カロリーの脂質がほとんど含まれていないため、100g当たりのカロリー量は意外と少ないです。

例えばショートケーキが1個(100g)約340lcal。
このカロリーをみかんに換算すると7個分です。

ショートケーキは1個くらい軽く食べてしまいますが、みかんは1度に7個も食べることはあまりないですよね。

果物は甘いですが、菓子類と比べると低カロリーなので、ダイエット中の方にはおすすめです。

 

主な果物にどれくらいの糖質が含まれているかは下記のとおり。

主な果物の糖質

果物糖質100gあたり(g)100gの目安カロリー(kcal)
バナナ21.41本86
ぶどう15.21/2房59
かき14.31個60
りんご14.31/2個61
ゴールドキウイ13.51個59
パイナップル12.51/6個53
みかん111個46
グリーンキウイ111個53
オレンジ10.81個46
なし10.41/2個43
グレープフルーツ91/2個38
もも8.91個40
※かき、ももは大きめの物は1/2個で。ぶどうはデラウエアなどの小粒のものは1房。

バナナ、ぶどう、かきは糖質が多い果物ですが、適量を食べるのはエネルギー源として役立つので、朝食に食べるのがおすすめです。グリーンキウイとゴールドキウイがありますが、グリーンキウイの方が糖質が少なく、食物繊維が豊富です。

  

1日にどのくらい食べれば良いの?

厚生労働省が推奨している1日あたりの果物の摂取量は200g(可食部)です。

果物はビタミン、カリウムなどのミネラル、食物繊維などの栄養素が摂取でき、生活習慣病の予防効果が高いことが分かっています。

1日200gの果物を食べて、健康な生活を目指しましょう。

くだもの200gの目安量は下記のとおりです。

果物200g(可食部)の目安数量

果物目安数量
みかん2個
りんご1個
なし1個
かき2個(大きめのものは1個)
ぶどう1房
もも2個 (大きめのものは1個)
キウイフルーツ2個
いよかん1個
グレープフルーツ1個
オレンジ2個
パイナップル0.3個
バナナ2本

糖尿病の方は、1日あたりの果物の目安量は80kcal分です。果物のカロリーは「主な果物の糖質」の表に記載してあるので参考にしてください。

具体的な数値が分からない時は、目安として大体片手の手のひらに載るくらいの量が80kcalです。

  

果物はいつ食べるのが良いの?

果物は食後のデザートだったり、おやつに食べたりすることが多いのではないでしょうか。

果物は栄養素が豊富なので、いつ食べても健康維持には効果的ですが、特に朝食に食べるのがおすすめです。

果物にはブドウ糖などの糖分が含まれています。

脳のエネルギー源はブドウ糖なので、睡眠中に消費されたブドウ糖を朝のうちに効率よく摂ることで、活力ある1日を送ることができます。

エネルギー源となる糖質、体調を整えるビタミン、食物繊維などの栄養素を速やかに補給できるので、1日のスタートとなる朝食に果物を摂り入れるのがおすすめです。

また、果物には水分やさわやかな食感を感じる有機酸が多く、食欲のない朝でも食べやすい食品です。

しっかり朝ごはんを食べる方も、朝はコーヒーだけというような方も、朝食に果物を摂り入れてみてはいかがですか。

 

まとめ

果物には糖分が多く含まれているから、太ったり、糖尿病などの生活習慣病になるという考えは誤解です。

もちろん食べ過ぎは、余分が糖や中性脂肪が蓄積されるのでNGです。

適量であれば、不足しがちなビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が効率よく摂取できます。

健康維持のため、1日200gを目安に果物を食べるようにしましょう

美里薬局 ニシオ

※参考:「毎日くだもの200グラム」で健康生活 公益財団法人中央果実協会