日本人にとって和食の定番で、朝の食卓に欠かせない味噌汁
味噌汁はそれぞれの家庭や地域によって材料や味が変わる「おふくろの味」「家庭の味」ですね。 味噌汁は鎌倉時代から約800年間も飲まれ続けてきた日本の伝統食!古くから言い伝えられる『味噌は医者いらず』『味噌汁は朝の毒消し』ということわざがあるように味噌汁を毎日飲むことによるメリットについて調べてみました。
< 味噌汁の効果・効能 >
味噌の栄養は、体に吸収されやすい特徴があります。 主に味噌汁に使う味噌は大豆を発酵させて作っています。大豆で摂取するよりもアミノ酸やビタミン類が多量に生成されるので栄養価が高いんです。
大豆に豊富に含まれているたんぱく質ですが、普通の加熱調理では消化吸収があまりよくありません。酵素によって加水分解されているお味噌は、約60%が水分に溶け、約30%がアミノ酸になりますので消化吸収がとても良くなります。
●コレステロールの抑制
コレステロールは、人間にとって必要な成分ですが、余分なものは体内にたまって血管に付着し、脳梗塞・心筋梗塞・血栓症などの原因になります。
味噌の主原料である大豆に含まれるサポニンには血清コレステロールの上昇を抑える効果があり、リノール酸やレシチンや食物繊維にはコレステロールを排出する働きがあります。
●ガンの予防
脂肪酸エチルは味噌が発酵して出来る栄養素で発がん性物質の活動を抑える効果があります。胃ガンは日本人がかかりやすいガンの一つですが、1981年に日本癌学会で『味噌汁を飲む頻度の高い人ほど胃がんによる死亡率が低い』ということが発表されています。
その他にも乳ガンや肝臓ガン、大腸ガンなどにも予防効果があるといわれています。
イソフラボン ⇒ 乳ガンを予防
ビタミンE・大豆サポニン ⇒ 抗酸化作用でガンの原因になる「過酸化脂質」を抑える
脂肪酸エチル ⇒ がん細胞になる働きを抑える
酵母・乳酸菌・麹菌 ⇒ がん細胞の原因になる物質を除去する
●二日酔いの予防
大豆に含まれるコリンという成分は、体外へアルコールの排泄を助けるので飲み過ぎた翌朝に効果かあるそうです。
「昨夜、飲みすぎたな」と思った朝は味噌汁を食べてみてはいかがでしょうか?
●美肌効果
味噌が発酵する過程で作られる遊離リノール酸は、メラニンを作るのに必要なチロシナーゼの生成を抑制する働きがあり、結果メラニン合成の抑制につながりシミやソバカスを防ぐ働きがあります。
また、味噌汁に含まれるグルコシルセラミドという成分は、肌の細胞形成を促進します。 昔からお味噌を作っている人の手は白いと言われていましたがこの栄養素のおかげで白くなっていたのかもしれないですね。
●安眠効果
大豆製品の味噌にたくさん含まれている、自然の栄養素トリプトファンは「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌を促す働きがあります。
日中にセロトニンを分泌することで、摂取してから15~16時間をかけて夜には快眠ホルモン「メラトニン」に変化していきます。
朝食に味噌汁を食べると、就寝する頃にメラトニンに変化する栄養素を補うことができるんです。
< 気になる味噌汁の塩分 >
味噌汁=塩分量が多い、そんなイメージがある方もいると思います。
味噌汁1杯に含まれる塩分は約1.2g。ちなみにカップ麵は約5.5g🍜・カレーライス約3.3g🍛
1日の塩分摂取量は男性で7.5g未満・女性で6.5g未満なので、1日3回飲んでもカップ麺より低いんです。
どうしても塩分が気になる方は、具だくさんにして汁の量を減らし、さらにワカメやひじきなどの海藻類をプラス!
海藻類には、塩分の排出を助けるカリウムが豊富に含まれています。
塩分が気になる方は、高カリウム食材を味噌汁の定番具材にするのも良いかもしれませんよ。
~カリウムを多く含む食材~
海藻類 | たけのこ |
ほうれん草 | かぼちゃ |
サツマイモ | キャベツ |
ジャガイモ | 納豆 |
朝から味噌汁1杯分を作るのが面倒という方もいらっしゃいますよね。そんなときは、お湯を入れるだけで完成するだし入り味噌や、味噌玉を作っておくのも良いと思います。
ワカメやねぎなどの乾燥具材を使えばレパートリーも増えますし、お湯を入れるだけで出来る味噌加工品も豊富に市販されていますので利用すると便利だと思います。
※『味噌玉』とは、手作りのインスタント味噌汁のこと。作り方はとても簡単で食べるときはお湯をかけるだけでOKです。
<味噌玉の作り方>
① 味噌を大さじ1杯ほど、顆粒のだしとお好みの具材をラップの上にのせます。
② その後、ラップごと丸めて完成です。
☆味噌玉におすすめの具材☆
【乾物】
かつお節、とろろ昆布、乾燥麸、高野豆腐、乾燥わかめ、焼海苔、乾燥あおさ、桜えび(素干し)、青のり、塩昆布、ごま
【香味野菜】
大葉、みょうが、生姜、長ねぎ、小ねぎ、にんにく
【漬物】
梅干し、柴漬け、野沢菜漬け、キムチ(塩気が多い場合は味噌の量は少なめに)
【その他】
油揚げ、天かす、なめたけ、じゃこ
☆味噌玉に向かない具材☆
【豆腐】
冷凍したい場合は、食感が変わるため不向き
【根菜類】
にんじん、れんこん、ごぼう、大根などの根菜、かぼちゃや、いも類は、お湯を注ぐだけだと中まで火が通らない為、ゆでて冷ませば使用可
冷蔵保存の場合は約1週間、冷凍保存の場合は約1ヶ月ほど保存が可能。
味噌汁の具と言えば「わかめと豆腐」「油揚げと大根」など2種類くらいの組み合わせを考えますが、冷蔵庫のあまり物全ての食材を入れてしまうくらいの感覚で作ると、食材からいろんな味の出汁が出ておいしい味噌汁ができて、また冷蔵庫の無駄もなくなり一石二鳥ですね。
味噌汁は味噌自体の栄養素も素晴らしいですが、ほとんどの種類の野菜やお肉を入れても相性が良く美味しい事です。たくさんの具材を入れれば栄養素もアップし、汁まできちんと飲めば溶け出した水溶性ビタミンなども全て摂ることができます。
味噌汁を飲む習慣がない方も、ぜひ毎日の食卓に取り入れてみてはいかがですか。
中込 キウチ