こんにちは、美里薬局の今井です。
高齢者の新型コロナワクチン接種が進み、65歳以下の方への接種もはじまりつつあります。
新型コロナのワクチン接種が進むなか、薬局でも患者様からいろいろな質問を受けます。
その中でも多いのが
「ワクチンの副反応が出たときに解熱鎮痛剤を飲んでもいいか」
「市販の解熱鎮痛薬でも大丈夫か」
というものです。
テレビでワクチンの副反応を取り上げたニュースをみて、多くの人がワクチンを打ちたい気持ちと同時に不安を感じています。
そこで今回は、厚生労働省の「新型コロナワクチンQ&A」を参考に
・コロナワクチンではどのような副反応がどれくらいの頻度ででるのか
・副反応が出たときは市販の解熱鎮痛剤で対応していいのか
・市販薬で使用できる解熱鎮痛剤のリスト
を紹介します。
厚生労働省は、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェン・ロキソニン)はワクチン接種後の副反応に使用できるとしています。
ただし使用に適さない方もいるため、心配のあるときは、かかりつけの医師や薬剤師に相談してみるとよいでしょう。
新型コロナワクチンの副反応の実際
ファイザー社の新型コロナワクチン開発時にみられた副作用の頻度は下記のとおり。
発現割合 | |
50%以上 |
注射部位の痛み、疲労、頭痛 |
10~50% |
筋肉痛、悪寒、関節痛、下痢、発熱、注射部位の腫れ |
1~10% |
吐き気、嘔吐 |
※コミナティ筋注 添付文書より
注射部位の痛み・倦怠感・頭痛が比較的多くみられますが、ほとんどが軽度~中等度の症状で数日以内に改善します。
次に、ファイザー社「コミナティ」の日本人における副反応をみていきます。
順天堂大学のコロナワクチン研究事務局が先行的に接種を受けた日本人約2万人の医療従事者を対象に、接種後一定期間(約1か月)に起こった症状・疾病を調べた結果です。
引用:厚生労働省「新型コロナワクチン接種後の健康状況調査」
ワクチン接種部位において副反応が見られた割合です。
接種翌日には9割ほどの方が注射部位に痛みを感じています。
また発赤・腫脹・熱感も1割ほどにみられました。
注射部位における副反応の頻度は、1回目と2回目接種で大きな違いはありません。
コロナワクチンによる全身反応をみたものです。
1回目のワクチン接種後は1割程度に頭痛・倦怠感がみられましたが、2回目接種後には頭痛・倦怠感の頻度が高くなっていました。
1回目のワクチン接種後に37.5度の発熱がみられたのは1割以下でしたが、2回目接種後には発熱がみられる頻度が上がっています。
また発熱は、年齢が若い世代の方が多くみられる傾向がありました。
この傾向は、頭痛・倦怠感においても同様でした。
日本人におけるファイザー社ワクチン「コミナティ」の副反応をまとめると、下記のとおり。
・注射部位反応は1回目・2回目の接種とも副反応の頻度に違いはなかった
・発熱・頭痛・倦怠感の全身反応は2回目の方が頻度が高くなる
・発熱・頭痛・倦怠感の全身反応は若い世代の方が頻度が高い傾向がみれる
厚生労働省「新型コロナワクチン接種後の健康状況調査」には、武田/モデルナ社の新型コロナワクチンの副反応についても掲載されています。
武田/モデルナ社のワクチンは大規模接種会場で始まったばかりで、まだ2回目のデータがありません。
2週間ごとに更新されており、今後2回目の副反応データも公表される予定です。
新型コロナワクチンの副反応は市販薬で対応できる
発熱・頭痛や注射部位の疼痛など軽度~中等度の副反応は、市販の解熱鎮痛薬で対応できます。
ワクチンの副反応に市販の解熱鎮痛剤で対応できるかに対しての厚生労働省の見解は下記のとおり。
少しまわりくどい言い回しになっていますが、要約すると下記のとおりです。
・アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソニンを副反応時に使用してもよい
・症状が出る前に解熱鎮痛剤を予防的に内服することは推奨されない
・それぞれの薬の注意書きをよく読んで服用するように
発熱など副反応がみられた際に市販の解熱鎮痛剤を使用できますが、服用に適さない方もいるので気をつけて下さい。
たとえば非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)であるイブプロフェン・ロキソプロフェンは
・妊娠予定日12週以内の妊婦
・胃潰瘍、十二指腸潰瘍のある方
・腎機能が低下している方
は服用できません。
また気管支ぜんそくの方は、ぜんそくを悪化させることがあるため注意が必要です。
市販の解熱鎮痛剤はいつもの飲みなれているものを使用するか、服用して大丈夫か気になる場合は、ワクチン接種前にかかりつけの薬剤師・医師に確認しておきましょう。
副反応に使用できる市販薬リスト
さきほど紹介したように厚生労働省は新型コロナワクチンの副反応時に、アセトアミノフェン・非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェン・ロキソプロフェン)を使用できると明記しています。
そこで、市販の解熱鎮痛剤で
・アセトアミノフェン
・イブプロフェン
・ロキソプロフェン
が入っている商品を紹介します。
下記の商品は、いずれも眠くなる成分(鎮静成分など)は入っていません。
アセトアミノフェンの市販薬
「タイレノールA」ジョンソン&ジョンソン
1錠にアセトアミノフェン300mg含有
15歳以上 1回1錠
「ラックル速崩錠」日本臓器
1錠にアセトアミノフェン300mg含有。口の中ですぐに溶け出す速溶錠
15歳以上 1回1錠
パッケージは腰痛になっていますが、タイレノールAと同じ有効成分・成分量です。
「ポパドンA」米田製薬
2錠中にアセトアミノフェン300mg含有
15歳以上 1回2錠 7~14歳 1回1錠
イブプロフェンの市販薬
「イブ」エスエス製薬
2錠中にイブプロフェン150mg含有
15歳以上 1回2錠
イブシリーズでは他に「イブメルト」があります。
イブメルトは1錠にイブプロフェン200gmが含まれており、口の中でラムネのようにサッと溶ける口腔内崩壊錠になっています。
「リングルアイビー錠」サトウ製薬
1錠にイブプロフェン200mg含有
15歳以上 1回1錠
カプセルタイプの「リングルアイビーα200」もあります。
ロキソプロフェンの市販薬
「ロキソニンS」第一三共
1錠にロキソプロフェンナトリウムが60mg含有
15歳以上 1回1錠
「ロキソプロフェン クニヒロ」皇漢堂製薬
1錠にロキソプロフェンナトリウム60mg含有
15歳以上 1回1錠
「バファリンEX」LION
1錠にロキソプロフェンナトリウム60mg含有
15歳以上 1回1錠
新型コロナワクチン接種にともない市販の解熱鎮痛剤の需要が高まっています。
とくにアセトアミノフェン製剤はすでに入荷未定となっているものも。
いつもの解熱鎮痛剤がない場合でも、他に使用できる市販薬がある場合も多いため、気になる方は美里薬局・中込中央薬局の薬剤師にご相談ください。
参考:厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」
厚生労働省「新型コロナワクチン接種後の健康状況調査」