医療用成分と同量配合のリンデロン軟膏が市販薬で発売・・・ステロイド剤使用のポイント

病院から処方されるリンデロン軟膏・クリームがスイッチOTCとして2021年2月に発売されました。

(※スイッチOTC・・・医療用医薬品として用いられている成分を市販薬・OTC医薬品として使用できるようになったもの)

リンデロンは発売から半世紀が経過したステロイド配合の塗り薬で、病院からよく処方されるお薬です。

使ったことがあり、なじみのある方もいるのではないでしょうか。

皮膚炎・かぶれ・あせも・虫刺されなどに使用し、短期間で効果がでる薬です。

今回の記事では、リンデロンをはじめとする市販のステロイド剤を使用する際の注意点についてまとめました。

 

ステロイドとは

ステロイドはヒトの副腎皮質でつくられるホルモンで、炎症・免疫・アレルギー反応を抑える作用があります。

このホルモンの作用を薬として利用したものがステロイド薬です。

ステロイドの入った薬って効き目が強いみたいだし、副作用が怖い・・・というイメージを持っている方もいるかと思います。

効き目が強い=副作用があるというわけではありません。

早期に作用の強いステロイド剤を短期間使用して早く治し、悪化を防ぐことが大切です。

 

ステロイドを使用するときの注意点

○広範囲の患部には使用しない

範囲が広範囲、慢性的な症状の場合は医療機関を受診しましょう。

○長期間使用しない

使用期間の目安は1週間以内です。1週間ほど使用しても改善しない場合は医療機関を受診しましょう。

症状が治まったら、使用を中止します。

○細菌・真菌・ウィルスによる感染をおこしている部位には使用しない

にきび・水虫などに使用すると症状を悪化させる可能性があるので注意しましょう。

○患部以外には使用しない、予防的に使わない

長期間、漫然と使用していると副作用(皮膚の委縮・肌の乾燥など)が表れる可能性があるので、やめましょう。

 

ステロイド剤の正しい使い方

1日2~3回、患部に薄くのばすように塗りましょう。

ゴシゴシと擦り込むのは肌への刺激となり、症状の悪化につながる原因となるので避けてください。

使用量の目安は、大人の人差し指の第一関節くらいの長さくらい(約0.5g)の量で、手のひら2枚くらいの範囲が適量となります。

たくさん塗ったからといって、早く治る・効果が高まる、というわけではありません。

保湿剤と併用する場合は、保湿剤を塗った上からステロイド剤を塗るようにしてください。

 

ステロイドの種類と強さ

ステロイドは5段階の強さに分類されます。

 

市販薬で販売しているのはウィーク・マイルド・ストロングの3段階までで、ベリーストロング・ストロンゲストは医療用のみになります。

子どもは皮膚が薄くバリア機能が未熟で、薬の成分が肌に浸透しやすいためウイーク・マイルドのものを使用しましょう。

また、顔・首・陰部などのデリケートな部位は吸収がよく効果がでやすいのでウイークを選択してください。

 

市販薬の紹介

 

 

 

 

 

 

 

ベトネベートN軟膏AS (ストロング)

ステロイド成分・ベタメタゾン吉草酸エステルと抗生物質・フラジオマイシン硫酸塩を配合

かき壊すなどして化膿し、ジュクジュクとしている場合は、細菌の増殖を防ぐ抗生物質が配合されているこちらの薬が良いでしょう。

 

 

 

 

 

 

リンデロンVsクリーム(ストロング)

ベタメタゾン吉草酸エステル配合。クリームタイプなのでベトつかず、さらさらした使い心地です。

 

 

 

 

 

 

 

コートfAT軟膏(マイルド)

プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル配合。子どもの湿疹・皮膚炎にも使用できます。

 

 

 

 

 

コートfMD軟膏(ウィーク)

プレドニン配合。皮膚の薄い赤ちゃんにも使える軟膏。顔などのデリケートな部分にも使えます。

 

ステロイドの塗り薬は正しく使えば、短期間で効果の得られやすいお薬です。

これからの季節はあせもなどの皮膚炎ができやすく、また虫に刺される機会も増えてきます。

これらの症状にすぐに対処できるよう、家に一つステロイドの軟膏・クリームを常備しておくのもおすすめです。

美里薬局 ニシオ